みなさんこんにちは!smartDIYsの横田です。
今回はレンズの焦点についての話です。レーザー光を集光するために使われるレンズは、「焦点距離」というものが決まっています。レンズの焦点をピッタリ素材に合わせないとうまくエネルギーが伝わらず加工ができません。ですが、あえて焦点をずらすことによるメリットもあるのでご紹介します!
この記事でわかること
焦点がずれると?
まずは焦点が合っていない場合はどういったことが起きるのか。
Etcher Laser Proで、素材に焦点が合っている状態(素材からレンズマウントの距離が10mm)と、そこから5mm焦点を離して(距離が15mm)加工をしてみます。
結果はこちら。
15mmの方は線が太くなっていますね。10mmの場合は、レーザー光が細く(小さく)集中するので効率よく熱が伝わり加工がうまくできますが、焦点がずれることによってレーザー光が分散してしまい線が太くなってしまうわけです。
レーザー光が太い状態で加工する
この太くなってしまう特性をあえて活かして刻印をすると2つのメリットがあります。
スジの軽減
こちらの写真をご覧ください。透明アクリルで丸を塗りつぶした加工をしたものです。左右ともに、スピード20000、パワー100%、回数1、ハッチング0.1mmで加工しました。
左側は通常の焦点距離で加工したものですが、よく見ると横スジが入っているのがわかりますか?右側は焦点を15mmにして加工したものです。スジが目立たなくなっています。
焦点が合った状態だとレーザーが細すぎてスジが目立ってしまいますが、焦点をずらすことによってスジを軽減させることができます。
加工の時間短縮
次にこちらの写真をご覧ください。
スジを除けば上下ほぼ同じ結果に見えますよね。実は上は通常の焦点距離で、スピード20000、パワー100%、回数1、ハッチング0.1mmで加工したもの、下は焦点を15mmにし、ハッチングを0.15mm、それ以外はすべて同じ条件で加工したものとなります。加工時間は上は2分8秒、下は1分30秒でした。
塗りつぶす刻印をする場合、ハッチングの距離を0.1mm以下にしないと線が重ならず塗りつぶされたように見えませんよね。焦点をずらすことでレーザー光が太くなり、ハッチングの距離を広げることができ時間短縮につながるわけです。
ただ、あまり焦点をずらしすぎると文字の輪郭が崩れてしまうので、ほどほどにする必要があります。
焦点をずらして切断すると?
実は、厚い素材を切断する時は、焦点を素材の表面に合わせるよりも中心に合わせたほうが、よりキレイに安定して加工することが可能です。詳しくは、素材の焦点距離に関する検証を行いましたをご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この方法は弊社のすべてのレーザー加工機で行える方法なので、ぜひ試してみてください。
ちなみに、各レーザー加工機の高さ調整用治具の高さは以下となります。この数字を参考にオリジナルの高さ調整用治具を作ってみてはいかがでしょうか。
- Etcher Laser:40mm
- Etcher Laser Pro:10mm
- FABOOL Laser Mini:3mm
- FABOOL Laser CO2:49.5mm
- FABOOL Laser DS:49.5mm
- LC950:6.45mm